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自分のホワイトボードを持つ

先日、ポケットマネーでホワイトボードを買った。

通常、ホワイトボードって、
会議室などの共用スペースにしかないかもしれない。

しかし、私は何としても、
自分の研究室に自分専用のホワイトボードがほしかった。

ちょっとした備忘録用のメモボードとして、
自分のアイデアを広げるための巨大なメモボードとして、
学会ポスターの構図を考える際の実物大のメモボードとして、
大いに活用できると思ったからだ。

主に自分自身のための用途しか考えていなかったわけだが、
実際、研究室に置いてみると、
意外にコミュニケーションツールとしても使えることがわかった。

P4271068_convert_20120428093515.jpg

たとえば、
同僚とある微生物の保存方針について、立ち話していたときも、
二人でホワイトボードの前に移動して、
この株はこんな方法で保存したらいいのでは、
とボードに絵を描きながら、話し合うことができた。

これまで、この手の同僚とのちょっとした会話は、
絵を描かずに言葉だけでコミュニケーションするか、
メモ紙に絵を描いて伝え合っていたわけだが、
ホワイトボードだと、お互いの目の高さで大きな絵を通じて、
コミュニケーションできるので、伝わり方が全然違う。

最後はこの走り書きをデジカメにおさめて記録しておけばいい。


またある時は、プロジェクターに投影するためのスクリーンとして使った。

研究の中間報告のプレゼンをどう作り込んでいくかについて、
研究メンバー全員で議論していたときのこと。

一人がパワポでたたき台をつくってきたので、
スライドを1枚1枚ホワイトボードスクリーンに映し出し、
皆でそれを見ながら、検討していった。

このスライドでは、ここにこの文言や矢印を入れてはどうか?
ここを削ってはどうか? といったことを
投影されたスライドにマーカーで書き加えることができた。


またある時は、ポスターを貼るためのポータブルな壁として使った。

先週は、取材に来られた新聞記者さんに最新の研究内容を説明する機会があった。
そこで、以前、学会で発表したポスターを持ってきて、
ホワイトボードにマグネットで貼り付け、
実際のポスター発表さながらの説明ができた。

ポスター発表の練習も、このようにホワイトボードにマグネットでとめることで、
より実践に近い、立ったままの状態でできる。


自分で気兼ねなく使っていいマイ・ホワイトボードだからこそ、
これからも新しい使い方が増えそうだ。


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カタログのじっくり閲覧で潜在的欲求を呼び覚ます

「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、
 自分は何が欲しいのかわからないものだ。」

これは、スティーブ・ジョブズの言葉。

アップル製品に限らず、
私は回転寿司屋で、これを感じる。

次は、トロでも食べようかと思ってたのに、
貝柱が流れてきて、「あ、そういえばコレも食べたかったんだ。」
と思い出したように、貝柱の皿を取り上げてしまう。

回転寿司は、きっと潜在的な食欲を教えてくれるシステムに違いない。


そして今週また、私は同じことを研究予算を組みながら実感した。

実験で使う消耗品について、
どんなものが必要か、どのくらいの数量必要か、どのくらいの価格か、
を調べるため、実験器具のカタログを眺めていた時のこと。

普通、カタログって、欲しいものがある程度定まっていて、
索引から引いて、該当ページだけをピンポイントで読む。

これがカタログのノーマルな利用方法だが、
そうではなく、1ページ目から順にパラパラ眺めてみたのだ。
自分の研究とは関係なさそうなページも。

カタログは商品のカラー写真が満載なので、意外なページに惹かれるもの。

あ、こんな変わった形状の容器があるんだ。
あ、こんな小さなサイズのシャーレもあるんだ。
あ、こんな便利な装置があったんだ。
あ、これ自分の実験にも応用できそう。

こうやって、現実に形あるものとして見せられると、
それが欲しくなってしまう。

なぜなら、これまでにない実験アプローチができそうだから。

従来のツールでは時間や手間から制限のかかっていた実験が
便利なツールを使えば、よりシステマティックに行えたり、
変わった形状の培養容器を使って、面白いバイオアッセイができたり、
通常とは異なるスケールで実験することで、より現実に近い系で観察できたり。

これまでとはひと味違った発想で実験ができる気がするのだ。


カタログをじっくり眺めることは、
実験をもっとクリエイティブで楽しいものにしたいという
潜在的欲求の引き金を引くのではないだろうか。


対極を示すことで本質を伝える

マザー・テレサは、「愛」の本質を伝えるために、
以下の有名な言葉を残している。

「愛の反対は憎しみではない。無関心だ。」


また、ガー・レイノルズは、下記の本で、
「遊び」をプレゼンに取り入れることの重要性を述べているが、
自分の言う「遊び」とは、決して不真面目ということではなく、
ユーモアや創造性なのだと、いう本質を伝えるため、
ブライアン・サットン=スミスの言葉を引用している。

「遊びの反対は仕事ではない、憂鬱だ。」


裸のプレゼンター裸のプレゼンター
(2011/07/08)
ガー・レイノルズ

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彼らは、このように対極を示すことで、
誤解を避けつつ、自分の言いたい本質を伝えることに成功している。



研究者だって、これを生かせるかもしれない。

たとえば、下記の本で紹介されていた事例をちょっと借りると、
被験者が筋肉質かどうかを伝えるには、
筋肉のデータを見せるより、体脂肪率を見せた方がよく伝わるかもしれない。

この本においても、「逆から見た方が本質が伝わることがある」と述べられている。


仕事ができる人、会社に必要な人仕事ができる人、会社に必要な人
(2009/03/13)
酒井英之

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川の水がいかにキレイかを伝える場合も、濁度を示した方がよく伝わるかもしれない。


あなたの研究でも、その対極にある指標を示すことで、
うまく伝わることがあるかもしれない。


次のスライドを出す瞬間こそが素人と玄人を分ける

学会発表などでのプレゼン。

どうやら、素人と玄人の違いは、
スライドの切り替わる瞬間にありそうだ。


たとえば、素人の場合。

「このように、AとBには明確な違いが見られました。」 
   次のスライドを登場させる。
「・・・・・」
「えー、次に、この図は、AとBの〇〇の拡大写真を示しております。
 このように、〇〇の構造が大きく違うことがおわかりいただけると思います。」

ってな感じで、次のスライドが出て初めて、そのスライドを説明し始める。
まるで、新しいスライドが出て、何をしゃべるべきかを思い出したかのように。

これだと、スライドが切り替わるたびに、ほんの一瞬だが、話がプツッと途切れる。

果たして、聴衆は、「次にどんなスライドを見せてもらえるんだろう」
という期待感を抱くであろうか。



一方、玄人はちょっと違う。

次のスライドに移る一歩前で次のスライドについて話すのだ。


「このように、AとBには明確な違いが見られました。」
「この違いはきっと、AとBの〇〇にあるだろうと考えました。
 そこで、〇〇の拡大写真を撮ってみたのです。」
   次のスライドを登場させる。
「このように、〇〇の構造に大きな違いがあることがおわかりいただけると思います。」

という感じで、こちらは現在のスライドを見せている最後の瞬間、
次のスライドを予告して、聴衆に期待感を抱かせている。


これは、私のプレゼンのバイブルである下記の本にも紹介されていたこと。


プレゼンテーションzenデザインプレゼンテーションzenデザイン
(2010/06/25)
ガー・レイノルズ

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この本では、
「見せる→話す」ではなく、「話す→見せる」という順番で情報を提示せよ、
という言葉で、このことが語られている。


以下、この本の74ページからの引用。

「一つ前のスライドが映っている段階で次のトピックについて話し始め、
 それから新しいスライドを映し出すというやり方である。
 こうすれば、スライドに操られることなく、
 あなた自身がプレゼンテーションを自由に操ることができる。
 そして重要な新情報はすべてスライドではなく、
 あなたの口から出てくる、という印象を聴衆の心に植え付けることができるのだ。」


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Author:Dr.Morich
森林学会、木材学会に所属する研究者のブログです!

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